こんにちは
Smile Houseの妙加です。
スムーズに語が出ずに、同じ言葉を繰り返してしまう・間伸びした発語になる・語が詰まって出てこない状態を吃音(きつおん)といいます。
多くは4歳以下の子どもの頃に発症するのですが、もし症状が現れたら早めに治療を始めることが大事。
そのためにも吃音の症状や特徴を知っておきましょう。
今回は、吃音の症状や症状の現れ方・特徴・進行順序などをまとめました。
吃音の症状や特徴は?

吃音の症状とは
吃音とは、語を繰り返したり、詰まったりするといった音声言語にあらわれる症状で、次のようなパターンがあります。
■連発(繰り返し)
「りりりりんご」という風に音を繰り返すことで、吃音初期に多くみられます。
吃っていることがわかりやすいので気がつきやすいケース。
■伸発(ひき伸ばし)
「りーーんご」という風に音を引き伸ばして発音し、これも吃音症状の初期にあらわれます。
■難発(ブロック)
「・・・・・りんご」という風に音がつまって滑らかに出てこない状態で、成人の吃音に多い症状。
最初の音が出るとあとは話せたり、本人が意図的に違う言葉に言い換える、黙ってしまうなどで、周りは吃音だと気づきにくい症状です。
吃音の種類
吃音は大きく分けると2つのタイプがあります。
1、獲得性吃音
獲得性吃音は青年期以降に発症し、脳の病気やストレスなど原因がはっきりとしている吃音です。
2、発達性吃音
発達性吃音は幼児期に発症し、吃音者の大部分を占めますがまだ原因はよくわかっていません。
ですが、遺伝要素と環境因子が合わさって発症するという説が有力です。
吃音を発症する時期
吃音の多くは4歳以前に発症し、成人してから現れる例は稀です。
発症率は人口の約5%で、圧倒的に男の子に多く、男女比は3:1。
吃音の段階と反応

吃音の多くは幼児期に発症し、最初は少し言葉を繰り返す吃音から、話すことに不安や恐怖を感じる吃音へと少しずつ進行するのが特徴。
進展すると話そうとするときに緊張・不安・恐怖が生じて、表情や身体に反応が出るようになります。
吃音の進展を4つに区別すると次のとおりです。
【第1段階】
吃音の初期症状。
軽い連発「り、り、りんご」や、伸発「りーんご」といった吃音症状がみられますが話し方に力みはなく、不安や恐れ、苛立ちは感じていません。
話すときに「吃ったらどうしよう」といった意識もない状態です。
【第2段階】
「り、り、りんご」と話していたのが「り、り・・・・・り、りーんご」という風に連発や伸発が少しずつ顕著になってきます。
この段階になると話すときに意識したり、軽い緊張を感じるようになります。
【第3段階】
話そうとすると言葉がつまる状態になり(難発)、緊張して表情や身体にも反応が現れるように。
(首や手をふる、身体を動かすといった随伴運動が生じるようになる)
うまく話せない、伝わらないといった欲求不満や、「吃ってしまうのではないか」と予期不安が起こるようになります。
【第4段階】
難発が進行し、言葉が出ない時間や頻度が増えるため話すことに恐怖を感じる。
予期不安が大きくなり、コミュニケーションを避けたり、不安と恐怖で話す場に行くことが困難に。
スラスラと話そうとすればするほど上手くいかない悪循環に陥りやすい。
吃音で現れる反応
話すことに緊張や不安、恐怖を感じて起こる反応のことです。
随伴症状
吃っている状態から抜け出したい!と思い、動作に現れる反応です。
首や手をふる、まばたきをする、身体を動かす、足をバタバタするなどがあります。
初めはその効果で吃音の症状が和らぐこともありますが、すぐに効き目が薄れるので他の動作をするように。
次第に動作だけが反応として残って、吃るたびに随伴運動が起こるようになり、吃音症状と同じぐらいの悩みになることもあります。
(例えば、吃るたびに首をふる動作が染み付いていて、吃るたびに首をふってしまうのどうにかしたいと悩むようになる、など)
情緒性反応
吃るかもしれないという不安や、吃ったときに表情や態度が変化することです。
【表情】
赤くなる、こわばる、戸惑う
【態度】
虚勢、攻撃、ごまかす、おどける、恥ずかしがる、ソワソワ
【視線】
そらす、見る
【行動】
恥ずかしがる、イライラ、咳払い
【話し方】
早口、小声、単調
予期反応
・過去に吃って恥をかいた
・吃音が原因で敗北感を感じた
・吃っている自分が恥ずかしい
といった気持ちがあると、話す前に「うまく話せるるかな・・・・」と不安や恐怖を強く感じます。
吃るかもしれない(予期)
↓
予想した通り吃る
↓
次はもっと強く予期するようになる
↓
さらに吃る
↓
さらに強い予期
と悪循環が起こり吃音者はどんどん強い予期不安を感じるようになっていく。
進行すると話す場に一切出れない状態まで追い込まれることもあります。
例えば、発言や自己紹介の順番が回ってくるといった近々の場面だけでなく、半年後に結婚する友達の結婚式でスピーチを頼まれて、現時点から緊張してストレスを感じることも。
吃音者が感じる悩みの多くはこの予期不安が大きく影響していて、予期反応とどう付き合うか?どう向き合い、断ち切るのか?というのが非常に重要になっていきます。
場面恐怖
場面恐怖とは特定の場面を恐れることで、吃音者でいうと
・吃って失敗して恥をかいた
・周囲の人に笑われた
・軽蔑された
といった経験が原因で形成されることが多くなるでしょう。
子どもの頃は「国語の朗読の時間が嫌」というのが特定の場面になりやすいですが、大人になると生活範囲が広がるので吃って失敗したと感じたり、うまくいかない経験が増えて場面恐怖が形成される頻度も増えると考えられます。
例えば、面接やお見合い、合コンで失敗して場面恐怖が形成され、そういった場にいけなくなったり、電話でうまく通話ができずに怒鳴られてから、電話をかけることができなくなるなどです。
他に場面恐怖を感じやすい例をあげるとすると、
・複数人の前で発言する
・自分から電話をかける
・かかってきた電話に対応をする
・知らない人に道を尋ねる
・挨拶をする
などがあるでしょう。
工夫
吃らずに話そうと工夫することです。
【解除】
話すのをやめて仕切り直す
【延期】
「あー」「えー」などを入れて間をとる、回りくどい表現をする
【助走】
話すスペースを早くする、弾みをつけて話す
回避
吃音症状が進展して、自分の吃音への意識が強くなると回避が始まり、回避が始まると吃音症状はさらに悪化していく。
・話す場や人を避ける
・途中で考えるふり、話を切り上げる、黙るなどで、話すことをやめる
・相手が言うのを待つ
・身振り手振りを使って伝えようとする
・言葉や語順を頻繁に言い換える
吃音症状には波がある

吃音は調子のいい時と悪い時、しばらく症状が現れたと思うとパッタリでなくなるといった波があります。
その波の間隔が月単位ほどの長いスパンなので、本人も周りも「治った」と勘違いしやすいのですが、その時は症状が現れにくい時期だと認識しておきましょう。
この波が、吃音者が自分の状態を受け入れるのに時間がかかったり、吃る自分が本当の自分なのか、調子よく話せる自分が本当なのかわからないといった混乱を招きます。
「吃音かな?」と思っても落ちついた波に入ると、治った・気のせいだったとしてしまう人が多いので、吃音は発見が遅れがちで、気づいたときには難発(ブロック)の状態まで進展していたというケースも多くあります。
そこまで進行すると治療にとても時間がかかってしまうので、吃音は早期発見をすることが大事。
吃音は50%の確率で自然治癒すると言われていますが、2人に1人は自然に治らず治療をしなければ悪化するということなので、「おかしいな?」と思ったら早めに医療機関に行くことをオススメします。
症状や特徴を知り早めに対応
吃音の症状は、
・「り、り、りんご」と同じ言葉を繰り返す(連発)
・「リーーーーんご」と語を伸ばして話す(ひき伸ばし)
・「・・・・りんご」と言葉が詰まって出てこない(難発)
の3パターン。
調子が良く吃らない時期とすぐに吃る時期が波のように現れるので「もう治ったのかな?」「気のせいだったかな?」と思うことがありますが、吃音が自然治癒する可能性は50%。
吃音は4歳以下に発症することが多く、2人に1人は治療が必要なので、発語に違和感を感じた場合は早めに医療機関へいきましょう。