こんにちは
Smile Houseの妙加です。
シゾイド(統合失調質)パーソナリティ障害の人は、孤独に過ごすことが最良と感じて人との関わりを持とうとしません。
多くのパーソナリティ障害では”人との関わりを求めているけれど、うまく関係を築けない”のですが、シゾイドパーソナリティ障害の人はそもそも”人間関係を求めない”という症状を持っています。
今回はシゾイドパーソナリティ障害の特徴・診断基準・克服法をまとめました。
シゾイドパーソナリティ障害の特徴

孤独が最良と感じる
他のパーソナリティ障害と大きく違っていて、シゾイド(統合失調質)パーソナリティ障害にしかない最大の特徴は「対人接触を求めない」こと。
回避性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害にも自分の世界にこもる傾向はありますが、この2つは心の中では人と関わりたいという欲求がありながらも傷つくことを避けています。
それに対してシゾイドパーソナリティ障害の人は孤独な環境を好み、孤独こそが最良と感じ、自分の世界に引きこもることを好んで選択しています。
異性を求め、交際して結婚するといった人生設計を描く人も多いと思いますが、シゾイドパーソナリティ障害の人は”独身主義”という言葉が当てはまり、パートナーを得ることよりも自分の世界観を守り、一人で過ごすことの方が優先順位が高い人が多いのです。
俗世に馴染まず、淡々とした生活を好む
シゾイドパーソナリティ障害の人は贅沢や華やかに着飾ることを嫌い、静かで質素な生活を好みお金の有無に関係なく、衣食住にはお金をかけず、外見にもこだわりがない人が多い。
その反面、洗練された感性や趣味は一面を持っている場合も多いという一面がある。
物質的にたくさんのものを持つことより精神的な部分に重点をおき、内面に価値を見出しているので無理な生活をせず質素に暮すことが似合う。
欲が薄いのは物質的な部分だけでなく肉体的にも禁欲をし、出世や名誉も求めずに俗世の競争社会から離れ、大自然の中で自給自足をしたいと思っている人もいる。
シゾイドパーソナリティ障害の大きな特徴の一つが、喜怒哀楽といった感情にも淡白で希薄な傾向があること。
しかし淡白ゆえに周りから見ると感情が足りないと誤解されることが多いですが、本当は少しの感情の動きを敏感に感じとる繊細さを持っています。
恒常性が高く黙々と続けることができる
シゾイドパーソナリティ障害の人は恒常性が高いことが特徴にあり、勤勉で黙々と続けることが得意。
気分にムラが少ないので同じ生活を続けることができるという才能を持っています。
コツコツ黙々と進めていくので、信頼を得やすく大きな仕事を成し遂げることもあり、シゾイドパーソナリティ障害の特性ゆえの独特の世界観から新たなものが生まれることもあります。
基本的には平和主義で”人畜無害”という人付き合いをすることが多いですが、度が過ぎると意表をついた反撃をすることもあるので注意。
内面は感性豊か
シゾイドパーソナリティ障害の人は対人関係を築かなくて良い仕事で最大の能力を発揮するので、人間関係に時間とエネルギーをさかずに自分の仕事に集中できる環境をつくりやすいPC関係の仕事にとても向いています。
また、自然の中を孤独に旅をすることが好きな人が多く、表面には現れにくいですが芸術的なセンスや、霊性を持っている人も多く、意外と内面は豊かなことが特徴。
自ら進んで話をしない傾向があり孤独を好んでいますが、親しくなったり共通の趣味を持つと楽しい話し相手にもなれるでしょう。
しかし、自分の意見を積極的に言わないだけで、こだわりや芯のある人あり頑固な人が多いので協力してする仕事にはあまり向きません。
シゾイドパーソナリティ障害の診断基準

ICD-10の診断基準
ICD-10 (精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン第10版)から要約。
✔︎■何かの活動をしてもほとんど喜びが得られない
✔︎■感情的に冷淡さ・無関心な態度・平板化した感情を示す
✔︎■他人に対して暖かい優しい感情や怒りの表出に乏しい
✔︎■賞賛や批判にも無関心
✔︎■他人と性的関係を持つことにわずかしか興味を示さない
✔︎■ほとんどいつも孤立した活動を好んで選ぶ
✔︎■過度に空想や内省に没頭する
✔︎■親密な友人や信頼できる人間関係を持たず(もしくはたった一人だけ持っている)そういった関係を望みもしない
✔︎■支配的な社会的規範や習慣に対して著しく鈍感
DSM-IV-TRの診断
DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引 新訂版)を要約。
社会的関係からの遊離、対人関係状況での感情表現の範囲の限定など、広範な様式で成人早期までに始まり種々の状況で明らかになります。
以下のうち4つ以上当てはまると診断されます。
✔︎■家族の一員であることを含め、親密な関係を持ちたいと思わない、または楽しく感じない
✔︎■ほとんどいつも孤立した行動を選ぶ
✔︎■他人と性体験を持つことに対する興味がもしあっても、少ししかない
✔︎■喜びを感じられる活動がもしあっても、少ししかない
✔︎■第一度親族以外には親しい友人または信頼できる友人がいない
✔︎■他人の賞賛や批判に対して無関心(に見える)
✔︎■情緒的な冷たさ、よそよそしさ、平板な感情
シゾイドパーソナリティ障害の克服

自分の世界を極める
社交的に振舞ったり人付き合いを無理にしようとせず、気のあった人と関係を作っていくと良い。
世間でよく描かれる成功を目指すよりも自分の特性をしっかりと理解してそれに合う生活スタイルと仕事を選んでいくことが、成功するポイント。
自然の中で孤独に取り組める研究者、農業、林業、動物の飼育、公園管理者といった仕事や精神的な面を追い求める僧侶、学者、芸術家なども向いています。
孤独という面をみると、プログラマー、警備員、設計士、運転手、郵便配達という仕事もおすすめ。
シゾイドパーソナリティ障害の人は無理に何かを変えたり自分を否定するのではなく、自分の特性を活かす方向で考え、自分に合う生活と仕事を探し出すことが◎。
シゾイドパーソナリティ障害の人と関わる時のポイント
自分の世界への侵害を恐れていることを理解する
シゾイドパーソナリティ障害の人は、自分の世界にこもり他人に壁を作ることで自分を守っていますが、それは自分の自我の殻が脆く弱い証拠。
そのため接近されたり親しみは受け入れるよりも、”侵入される”というような恐怖を感じることがあるのです。
シゾイドパーソナリティ障害の人にとって孤独を感じる居場所は非常に大切なもので立ち入って欲しくない領域ということを知っておきましょう。
大事なことは、相手の聖域に土足でズカズカと踏み込まないように気をつけて、少し遠めの距離から始めていくこと。
感情は抑え、淡々と接するところから始められるとなお良く、相手にとって安心できる関係性を築く始まりになります。
人を騙したり嘘をつくことがなく、質問した内容に正直に答えるので、過度に立ち入った質問をして聞き出そうとすると拒否反応が出てしまうこともあります。
慎重にゆっくりと関係性を築いていきましょう。
本来の親密さは求めないようにする
シゾイドパーソナリティ障害の人は人との親密度が増し近くなると、自分の世界へ侵入されるのではという気持ちになることがあり、そうなってしまうと関係性が崩壊してしまう可能性が出てきます。
一般的にはパートナーや身近な人との関係性は時間とともにより近くなったり、頼り頼られという信頼が生まれますが、シゾイドパーソナリティ障害の人との関係は時間がたっても一定ラインから深まることがないという認識を持って関わることが大事。
うまくやっていくには共通の趣味を持ちながら付かず離れずの距離感を保つこと。
たとえパートナーであっても友達や協力者という関わりがしっくりくる距離で、お互いの世界を尊重し合うと良い関係性が築けます。
シゾイドパーソナリティ障害の特性を理解して活かすことが大事
シゾイドパーソナリティ障害の特性は、無理に矯正していくよりも仕事面では特性を活かせるようにすることが成功のポイントです。
淡々と物事をこなすことができ、感情の起伏があまりないので探せば自分に合う職業が見つかるはず。
人間関係を良好に築きたい、深い関係性を持ちたいという欲求が薄く優先順位も低いので、関わる側からすると寂しい気持ちになることがあるかもしれませんが、孤独な生活を好む特徴のある疾患だと認識しておきましょう。