こんにちは
Smile Houseの妙加です。
インフルエンザは毎年冬になると流行するので、多くの人が感染したことのある感染症だと思います。
感染力が強いのであっという間に拡散し、高熱・頭痛・倦怠感といった症状が現れます。
予防法や予防接種があるにも関わらずインフルエンザが毎年流行するのは、ウイルスの構造に理由があります。
今回は、インフルエンザが流行する理由や症状、治療法についてまとめました。
インフルエンザとは?
インフルエンザは【インフルエンザウイルス】に感染して起こる感染症の一種。
16世紀のイタリアの占星家が、周期的に現れる流行を【星や寒気の影響(influence)】と考えたことが語源になっています。
インフルエンザウイルスや流行の時期についてまとめました。
インフルエンザウイルスは3つの型がある
インフルエンザは現在に残る最大級の疾病と言われていて、A型・B型・C型と3つの型があります。
そのうち、人に感染するのはA型とB型。
A型は人間以外にも、ブタ・ウマ・カモ・ニワトリなど哺乳類と鳥類にも感染しますが、B型は人にしか感染しません。
インフルエンザが毎年大流行する理由は、型の中でもさらに数百種類の亜型が存在しているから。
例えばA型インフルエンザはウイルスの表面からタンパク質が突き出た構造をしていて、そのタンパク質はヘマグルチン(H1-H16の16種類)とノイラミニダーゼ(N1-N9の9種類)があります。
この組み合わせの数だけ亜型があるので、A型インフルエンザだけでも144種類存在します。
同じA型インフルエンザでも、ヘマグルチンがH2・ノイラミニダーゼがN1のA(H2N1)亜型と、ヘマグルチンH2・ノイラミニダーゼがN2のA(H2N2)亜型では体内で有効な免疫が違います。
そのため、以前にインフルエンザに感染したことがあっても、その年に流行している亜型の抗体を持っていないと感染して発症してしまいます。
インフルエンザが流行する時期は?
A型とB型のインフルエンザは季節性があり、日本では12月〜3月がもっとも流行し、感染力も強いので短期間で国内だけでも約1000万人が感染しています。
しかし度々、抗原が大きく異なるインフルエンザウイルスが発生し、大流行することがあります。(新型インフルエンザ)
新型インフルエンザは季節性のインフルエンザと違って免疫を持っている人がいないので急速に感染が拡大し、ウイルスの種類や強さによっては世界的に大流行(=パンデミック)が起こります。
世界的な大流行(パンデミック)を起こした新型インフルエンザは?
過去に世界的に流行したインフルエンザは次のとおりです。
■スペインインフルエンザ(A H1N1亜型)
大正7-8年に流行し、全世界で2000-4000万人、日本でも40万人が死亡。
■アジアインフルエンザ(A H2N2亜型)
昭和32-33年に流行。
■香港インフルエンザ (A H3N2亜型)
昭和43-44年に流行。
新型インフルエンザは感染力や症状の強さによっては多くの犠牲者が出てしまいますが、パンデミックを起こし世界に流行すると大勢の人が免疫を持つようになるので、次第に季節性インフルエンザとして落ち着いていきます。
実際に2009-2010年に新型インフルエンザ(A H1N1 2009)が流行しましたが、現在では季節性インフルエンザとして扱われています。
インフルエンザの症状
インフルエンザウイルスは感染してから1日〜3日の潜伏期間があり、次のような症状が1週間ほど続きます。
■38℃以上の高熱
■全身の倦怠感
■食欲不振
■筋肉痛・関節痛
■頭痛
■上気道炎症状(せき・鼻水)
【合併症】
■合併症
■肺炎
■中耳炎
■熱性けいれん
■気管支喘息
■急性脳炎(インフルエンザ脳症)
↑インフルエンザ脳症は毎年約200人が発症し、急激に悪化するので早急に対処が必要。
(発症した10%-30%が死亡)
高齢者や慢性疾患、代謝疾患などで免疫が低下していると、基礎疾患の憎悪+呼吸器の細菌感染症が起こりやすくなるので注意!
【重症化しやすい人や基礎疾患】
■高齢者(65歳以上)
■小児(5歳未満)
■妊娠中の人
■肥満
■慢性呼吸器疾患(喘息や間質性肺炎)
■慢性心疾患(慢性心筋炎や虚血性心疾患)
■代謝性疾患(糖尿病や痛風)
■腎機能障害
■免疫機能不全
インフルエンザ脳症の症状
インフルエンザ脳症はとくに5歳以下の小児に多く、発症すると急激に悪化して死亡することもあるので、症状が出たら早急に医療機関にいってください。
【インフルエンザ脳症の症状と異常行動】
■意識障害(呼んでも答えない)
■持続性の痙攣
■異常行動
・人を認識できない(両親がわからない、この場に居ない人に対して居るかのように話しかける)
・自分の手を噛む
・食べ物か食べれない物かの認識ができない
・急に怒る、泣く、叫ぶなど
インフルエンザの異常行動
小児がインフルエンザに感染した場合、約10%に異常行動があらわれます。
(インフルエンザ脳症や、一時ニュースになった薬の副作用とは別の症状です)
多くは発熱の初日〜2日目にみられ2日間ほどで軽快しますが、稀に異常行動が転落事故につながり死亡した例もあるので、小児がインフルエンザと診断されたときは、一人にならないように気をつけましょう。
【異常行動の例】
・興奮状態になる
・部屋を走り回る
・窓を開けて外に出ようとする
・話しかけても反応しない
・意味のわからないことを叫ぶ
・突然笑いだす
インフルエンザと風邪の違い
インフルエンザと風邪は似た症状が現れるので、違いをまとめました。
【原因】
風邪・・・様々なウイルスや細菌によって発症する
インフルエンザ・・・インフルエンザウイルスに感染すると発症する
【症状】
風邪・・・のどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳、発熱
インフルエンザ・・・高熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、全身症状(倦怠感)
特徴として、インフルエンザは急激な発熱、全身倦怠感、食欲不振といった全身症状が強くみられ、インフルエンザ脳炎や肺炎といった合併症で重症化する可能性があります。
一方で風邪は強い全身症状はあらわれず、重症化することもほとんどありません。
インフルエンザの治療
インフルエンザの治療は【抗ウイルス薬の服用】と【対処療法】です。
抗インフルエンザウイルス薬を服用
抗インフルエンザウイルス薬で治療をするなら、発症から48時間以内に服用すること。
この期間に治療を開始できると、発熱期間を1日〜2日ほど短くでき、鼻やのどから排出されるウイルス量も減らすことができます。
逆に発症から2日以上たってから服用してもあまり効果は期待できません。
現在使われている抗インフルエンザウイルス薬は、
・内服薬
・吸入薬
・点滴注射
の3種類あり、それぞれ用法・用量・期間が違うので医師の指示に従いましょう。
【主な抗インフルエンザウイルス薬】()は商品名
・オセルタミビルリン酸塩(タミフル)
・ザナミビル水和物(リレンザ)
・ペラミビル水和物(ラピアクタ)
・ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル)
インフルエンザの対処療法
対処療法として解熱剤、咳止め、去痰薬などを服用し、症状を和らげます。
ただし、小児がインフルエンザの時にアスピリンを服用するとライ症候群(急性脳症、肝臓の脂肪浸潤などを起こし、命に関わる病)との関係が推測されているので、要注意。
また、非ステロイド系解熱薬のジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸は、インフルエンザ脳症を悪化させる可能性があるので幼児には投薬しないこと。
解熱剤を飲むときはアセトアミノフェンが推奨されています。
肺炎や気管支炎といった細菌感染が重症化しそうなときは、合併症予防のため抗菌薬の投与も検討します。
インフルエンザの出席停止期間
インフルエンザは症状が治まっても出席停止期間があるので、すぐに学校や園へいけません。
出席停止期間の目安は「発症後5日経過、かつ解熱してから2日を経過するまで」です。
ただ、出席停止の期間は学校や園によって違うので、通っている学校や園に問い合わせて確認しましょう。
大人はインフルエンザに感染したから出勤停止という決まりはありません。(勤務している会社による)
ただ、インフルエンザは発症後1週間程度はウイルスを排出して周りの人に移す可能性があるので、解熱後もマスクをすること。
たとえ1日や2日で解熱しても、そこから2日ほどは外出は自粛したほうが良いでしょう。
仕事の都合もありますが、可能であれば小児と同じように発症から7日ほど経過するまで外出は望ましいとされています。
インフルエンザは早めに医療機関へいくこと
インフルエンザは重症化すると症状が長引いたり、合併症によっては命に関わるので早めに医療機関にいくのが望ましいでしょう。
とくに、インフルエンザに有効な抗ウイルス薬は発症後48時間以内に服用しないとあまり効果が望めず、解熱するまで日にちがかかったり、周りの人へ感染する可能性が高まります。
また、インフルエンザは全身症状(倦怠感や食欲不振など)が強くあらわれるので、脱水症状や栄養不足にならないよう十分に注意してくださいね。