境界性パーソナリティ障害の診断・克服法・接し方まとめ

こんにちは
Smile Houseの妙加です。

境界性パーソナリティ障害は近年増え続けている疾患で、特に若い女性に多く発症しています。

人から「愛されたい」「必要とされたい」と強く願い、依存対象には見捨てられまいと必死になり、

どれだけ愛情を注がれても”愛情を貪る”ような関わりをしてしまうのが特徴です。

今回は、パーソナリティ障害の特徴・診断基準・克服法や接し方をまとめました。

境界性パーソナリティ障害の特徴

境界性パーソナリティ障害特徴
境界性パーソナリティ障害の根底には”愛情飢餓”があり、不足した愛情を「他人に埋めて欲しい」という強い欲求があります。

強い愛情飢餓ゆえに”愛を貪る人”とも表現される境界性パーソナリティ障害の特徴を5つにまとめました。

最高と最低、白か黒、両極端を行き来する

境界性パーソナリティ障害の大きな特徴は、【両極端を目まぐるしく行き来する】ことです。

どういう意味かというと、ついさっきまで最高に幸せ!と感じていたのに、些細なことで世界の終わりもう死にたいという程に落ち込むといったことを日常の中で目まぐるしく繰り返します。

両極端な変動は主に気分と対人関係で顕著に現れ、揺れ動く不安定な自分自身に振り回されコントロールができません。

落ち込んで「うつ」の症状になると無気力になり全てが無意味、自分なんて生きる価値がないと思いつめ、絶望と自己嫌悪から自己破壊衝動が生まれることもありますが、そこでうつ状態が長期間持続せず、楽しみにしていた予定には意気揚々と出かけたりします。

このようにうつ症状が突発的・間欠的に現れるのが境界性パーソナリティ障害の特徴です。

対人関係で顕著に現れる「愛情飢餓」

境界性パーソナリティ障害の人は心の根深い部分に「愛情飢餓」を抱えているので常に愛情を求め、自分の枯渇した心を満たしてくれる人を探しています。
「この人なら自分に愛情を注いでくれるかもしれない」「自分のことを支えてくれるかもしれない」と感じると相手を理想化し、過度の期待を膨らませて相手は万能な存在だと思い込んでいく。

また、相手に父親・母親の代理かのように相手に依存し、幼少期に本当の両親から欲しかった愛情を注ぐように要求します。

当然ですがそんな関係性は相手が支えきれなくなり、長続きせずに破綻を迎えます。

相手が過度の期待に戸惑ったり、嫌気がさした態度をとると「また見捨てられる」「離れていってしまう」という不安にかられ必死にすがりついて関心を引くことに躍起になり、エスカレートすると自殺企図や自傷行為に繋がっていきます。

相手を引き止められなかったときは過度に期待していた分、激しい失望感と裏切られた怒りでいっぱいになって攻撃的になります。

言葉の攻撃だけでなく相手を困らせ追い詰めていくので、境界性パーソナリティ障害の人の人間関係は自分も周りも傷つけて疲弊し、後味の悪い終わり方が多くなります。

自殺企図で気を引こうとする

境界性パーソナリティ障害の人の行動と情緒が不安定になる原因は【両極端に気分が揺れ動く】ことで、根底には愛情飢餓と見捨てられ不安があります。

その心理から様々な行動が引き起こされるのですが、簡単に言うと”周囲の気を引いて自分から離れないようにコントロール”しようとするのです。(対人コントロール)

もっともわかりやすい対人コントロールが、自殺企図や自傷行為です。

自殺企図は境界性パーソナリティ障害の重要な特徴で、自殺企図や自傷行為がきっかけで医療機関に受診して診断がつくケースが非常に多く見られます。

自殺企図は周りに大きなインパクトを与え、今まで関心を持ってくれなかったり否定的な態度をとっていた人でも「本当に死んでしまうのでは」と不安に感じ、一時的であっても関心を向けることになるので、本人からすると非常に効果的な方法になるのです。

そして一時的に成功しても身体が回復してしまうともう構ってもらえなくなるので、また愛情を求め自殺企図をする・・・といった命と愛情を天秤にかけた不毛な賭けがループされてしまう。

最初は関心を向けていた人も度重なると「またか」と構ってくれなくなり、さらに絶望的で過激な不幸アピールをしていくことになり、本当に絶命してしまうケースもある。

「本当に死んだら?」と突き放されて目が覚めたかのように立ち直っていくパターンも極々稀にありますが、大抵は不幸な結末になるので注意が必要。

自分の存在を消したいという自己破壊衝動

境界性パーソナリティ障害の自殺企図や自傷行為は周囲をコントロールするための芝居や狂言なのでは?と思いがち。

確かに周囲から気をひくアピール的な要素もありますが、もっと核に迫ると境界性パーソナリティ障害には【自己破壊衝動】というのがあり、症状が重度になるほど強く激しい欲求として現れます。

「自分の存在を消し去りたい」と正常な精神状態では思わないような欲求を、心の底から望んでいる状態になり、対処が困難になっていく。

例でいうと、動脈や神経まで切断するといったリストカットではすまないレベルの自傷行為や、自分の上腕から前腕にかけて包丁で切り裂いたケース、頸動脈を切り大量出血を起こしたなどがあり、自殺企図は決して芝居や狂言ではなく、【ためらい傷】と捉えきちんとした対応が必要だと周りの人は知っておかなくてはいけない。

生きること=当たり前ではなく、なんとか”今日も生きる”と選択している不安定な状態で、境界性パーソナリティ障害の人は毎日生きているのです。

強く根深い自己否定感

そんなにも簡単に自分を破壊する選択ができるのかというと、境界性パーソナリティ障害の人は【強く根深い自己否定感を抱えている】から。

強い自己否定感は薬物乱用・売春行為・窃盗や命を投げ打った無謀な行動など、法に触れる行動にも繋がりますが自分には存在価値がないと思い込んでいるため、さも当然かのように自分を安売りし粗末に扱ってしまいます。

そしてほんの少しでも優しい言葉をかけてくれたり、自分に興味を持ってくれた人がいるとあっさりと体を許したり、結婚するといった後先を考えない行動をとってしまう。

また、強い自己否定感や見捨てられ不安から生まれる虚無感や気分の浮き沈みを紛らわすために刺激を求めるのも特徴の一つ。

恋愛、セックス、薬物、自称行為、窃盗、といった少しドキドキし気分が高揚する出来事をして心の安定を保とうとします。

自分の存在は価値がない・汚らしい・醜いと思い込んでいる強い自己否定感は生まれながら感じているものではなく、幼少期の親との関係で形成されます。

親へのこだわりと執着

境界性パーソナリティ障害の人は症状の程度に関係なく親に対してこだわりを持っています。

ここで言うこだわりとは、成人になってからも幼少期に満たされなかった愛情を欲しがり、親から卒業できずとらわれている心理状態のこと。

親から愛情を注いでもらい適切な保護を受けて育つと、精神的にも社会的にも自立して親離れをしていく。

絶対的な支配者だった親との思い出は支配力をなくし、子どもの頃に大切にしていたおもちゃのように懐かしい思い出として心にとどまり、ずっと優しく暖かな記憶として残っている状態が自然で健全な成長過程です。

ですが何らかの出来事で適切な愛情や保護を与えられなかった場合、自分の欲しかった愛情や関わりを求めてこだわり続けるので、子どもはうまく親離れができず、心の中に特別な存在として居座り続けてしまいます。

必要な時期に愛情を注ぐこと、適切な時期に切り離れることが子どもの成長には必要ですが、境界性パーソナリティ障害の人は親離れできていないというのが共通している。

他のパーソナリティ障害でも親へのこだわりは持っているのですが、境界性パーソナリティ障害はより顕著に現れ引きずっています。

原因は、病気・死別・離婚などで親が不在になったり、その後の養育者から必要な愛情を注がれなかったことや、両親が揃っていても夫婦間に問題がある場合、条件付きの愛情下で育つ、親が子育てより自分自身のことに夢中になっている、など多岐に渡ります。

境界性パーソナリティ障害の診断基準

境界性パーソナリティ障害診断
DSM – 5(精神疾患の診断・統計マニュアル)では下記の診断基準で示されています。

対人関係、自己像、感情などの不安定、著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになります。
次のうち5つ以上によって示されます。

・現実や想像の中で見捨てられることを避けようとして、なりふりかまわない努力をする

・理想化と脱価値化との両極端を揺れ動き、特徴づけられる不安定で激しい対人関係様式

・同一性障害:著明で持続的な不安定な自己像や自己観

・自己を傷つける可能性のある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(浪費、性行為、物質濫用、無謀な運転、むちゃ食いなど)。

・自殺の行為、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。

・顕著な気分反応性による感情不安定性(例:通常は 2~3時間持続し、2~3日以上持続することはまれな強い気分変調、いらいら、または不安)。

・慢性的な空虚感。

・不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:かんしゃくを起こす、いつも怒っている、取っ組み合いのけんかを繰り返す)。

・一過性のストレス関連性の妄想様観念、または重篤な解離性症状。

境界性パーソナリティ障害の克服と接し方

境界性パーソナリティ障害克服

両極端の中間を考える

境界性パーソナリティ障害の人は感情や思考が両極端で中間がありません。

完璧で最高か無価値で最低といった【全か無】の思考が顕著に現れます。

自分を受けれてくれるのか拒否するのか、敵か味方かという風に二極で物事を判断し、合わせて評価も変動するのが境界性パーソナリティ障害の特徴ですが、現実の世界では割り切れない出来事がたくさんあります。

一つのことがダメになっただけで全てが無意味に感じ途端に無気力になる、少し友達と意見の違いが出ただけで自分を拒否したと受け取る、など極端な思考と評価をしているとうまくいかない出来事が多々おこりますよね。

極端な思考を修正する方法は一つ。

常に【中間の考え方や捉え方は何だろう】と思考をめぐらせ、自分の偏りに気がつくことです。

そして中間地点の選択肢を選んだ体験を積み、新しい思考パターンを作り上げることが大事。

長い関係性を築く意識をする

境界性パーソナリティ障害の極端な思考は対人関係でも現れます。

相手が自分の理想通りに行動している場合は安定していますが、素っ気なくされたり自分の思い通りにならなかった時は裏切られたと感じで憎しみを抱いたり問題行動を起こします。

それは今まで何年も寄り添い自分のために尽くしてくれた相手が、たった一度の否定で相手のことが信じられないと怒りを感じるほどに強い執着です。

今までの積み重ねよりこの一瞬の相手の反応に左右されて感情的になる不連続性があるため、境界性パーソナリティ障害の人は長期t系な人間関係を築くことが困難になるのです。

克服するには人と一貫して繋がっていく力をつけ、じっくりと長く続く関係性を構築すること。

時間はかかりますが、人と健全に繋がる力を育てることが非常に重要です。

自分で自分を支えていく

境界性パーソナリティ障害の人の本当の克服は、自分の問題を自分で引き受け自立した先にあります。

自分の状態を他人のせいにすることは、他人に自分を何とかしてもらおうと丸投げにして他人を責めているだけで解決にはならないのです。

うまくいっていない時こそ成長のチャンスであり、自分自身を強くする課題が目の前にあると思考を切り替えましょう。

失敗や挫折、寂しさや虚無感といったストレスを他人で紛らわすのではなく、耐える力を育てること。

どれだけ相手に依存しても、相手をコントロールすることに躍起になっても自分を変えることができるのは自分しかいないのです。

自分に起こる感情の変化や出来事をきちんと受け止め、自分で何とかしようと決めると変わることができます。

自分で自分を満たしてあげることが何よりの治療法です。

だからと言って、苦しい時に助けを求めることは何ら問題はありません。

他人が自分の理想通りの助けをしてくれなかった時に、「相手が助けてくれなかったから自分は苦しい」と捉える思考を変えていきましょう。

接し方のポイント

変わらない態度が支えになる

境界性パーソナリティ障害の人に接する上で非常に重要なのが【変わらない態度で接すること】。

気分の変動が激しく、合わせて周りへの評価もうまくいっている時や気分が良いと「素晴らしい!」となり、思い通りになっていないと「最低」と怒りを感じて敵対するという風に、不安定な相手に巻き込まれてはいけません。

一喜一憂したり同情したりせずどんな時でも一定の態度を貫く姿勢を持つこと。

安易に同調せず、相手の気分を打ち消すような姿勢で接して、長く関わり続ける存在になることが良い助けになります。

もっともよくないのは、最初は熱心に話を聞く・直接手助けをする・力になると期待させるといった関わりをして一気に親密になったものの、際限なく依存してくる相手に疲れて距離をおくような中途半端な関わり。

残念なことにこういったケースは多く、【人はやっぱり自分のことを見捨てる】と傷を残し、さらに症状が悪化してしまいます。

境界性パーソナリティ障害の人は【長期間変わらない態度で関わり続けてくれる人がいる】ことを知り、体感することが情緒を安定させるためにもっとも大切。

そのため関わるときは「この関係性を5年先も続けられるのか?」と自分自身に問いかけてみてください。

「5年も続けるのはしんどい」と思うなら、少し距離を取りましょう。

関わる側がきちんと限界ラインを決めて線引きしておかないと、境界性パーソナリティ障害の人は際限なく依存してくるので気をつけなくてはいけません。

相手に飲み込まれて心中しないようにする

境界性パーソナリティ障害の人と関わるときの難しさは、助けようとする気持ちが依存を誘発し、援助者が飲み込まれて共倒れのように破綻する可能性が高いことです。

底なしの愛情飢餓に対して愛情をどれだけ与えても満たされることはなく、与えれば与えるほどに貪ろうとすることを覚えておきましょう。

一方的に愛情を与えるだけでは境界性パーソナリティ障害は克服できません。

他人から与える愛情や助けは限界値があって際限なく与えることは、かえって相手の症状を悪化させる原因になると肝に命じてください。

「他人は変えられない」という言葉があるように、愛情飢餓は他人に癒せるものではなく、自分でどうにかするしかないのです。

境界性パーソナリティ障害も最終的には本人が変わることを決意しなければ克服できないので、本人のことを想うのであれば限界設定をして、できる範囲・できない範囲を明確に伝える方が結果的に親切な関わりになります。

特に少し親しくなってきた段階で、自分の過去や傷をさらけ出し急激に距離を詰めようとしてきたときは要注意です。

「心を開いてくれてるのかな?」と際限なく聞いているうちに逃げ場がなくなっていることがあるので、冷静に控えめに接し、必要であれば話題をそらして話を聞くライン決めをしましょう。

同情はしない

境界性パーソナリティ障害の人との関わりでは変わらない態度で受容し適度な共感は必要ですが、「かわいそう」と同情することは相手のペースにハマってしまう危険な関わりです。

母親的な【愛情や保護を際限なく与える】という関わりではなく、父親的な【ルールを作り、制限を設定して守らせる】といった関わりを目指しましょう。

話を聞くときは大げさな反応はせずに黙って頷く程度の反応で構いません。

関わる側が感情を強く表すと、情緒の不安定さを増幅させてしまうからです。

相手の気持ちを大切にすることと、いまこの瞬間の感情に振り回されることは全く違います。

過去・現在・未来を一貫した視点で関わり、相手の瞬間的な不安定さに巻き込まれないようにしましょう。

自殺企図への対応を知っておく

境界性パーソナリティ障害は愛情や関心を集めたり、相手をコントロールするためには自殺企図や自傷行為も一つの方法になります。

こういった危険な行動への対処が境界性パーソナリティ障害と向き合う大きな課題です。

ただのアピールと捉えて、対処を誤ると不幸な結末を迎えてしまうので気をつけましょう。

危険行動への最も有効な対応法は【行動制限】です。

物理的な行動制限は難しいので、徹底した話し合いをして危険行動はしないと約束を取り付け、破った場合の罰則を明確に決めると良いでしょう。

医療機関では自殺企図や自傷行為には一貫したルールを作り行動制限を行います。

関わる人や環境でルールが変わると効果が出なくなるので連携を取り、一貫した対応になるようにしてください。

愛情飢餓を満たし、自立することが重要

境界性パーソナリティ障害の根底には愛情飢餓があり、心の中にある愛情タンクが埋たされてないことが原因で様々な症状が現れます。

境界性パーソナリティ障害を根本的に克服するには、心の底にある愛情飢餓を自分で満たし自立することです。

また、関わる時は相手のペースに巻き込まれると関係が泥沼化したり、共倒れしてしまうので冷静に対応しましょう。

できる範囲・できない範囲を明確にして自分が関われる限界設定を決めておくこと。

そしてその限界値をこえそうな場合はNOとはっきり伝えて線引きを忘れないようにしてください。

きちんと線引きをすることが結果的に相手のためになり、回復のサポートに繋がります。

症状が進むと自殺企図や自傷行為といった命に関わる行動を取るようになるので、早めに医療機関やカウンセリングを受けることをオススメします。

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SmileHouseスタッフの妙加(たえか)です。 仕事に追われつつドタバタと記事を書いていますが、がんばって子育てに役立つ情報を更新していきたいと思っています。 最近はランニングとあんこと半身浴にハマっています♪